大切な人を見送る準備、できていますか?
この記事では、祖母を見送った時の経験を元に、
父を無事に見送るために準備したことを、記憶を辿りながら記録します。
「縁起でもない」ではなく、いざという時のために、私の体験が少しでもお役に立てればと思います。
親が亡くなる前から、葬儀の準備をする。
そう聞くと、少し抵抗がある人もいるかもしれません。
私も、父がもう長くないとわかったとき、
「もうすぐ亡くなるので、相談に来ました」
そう言って葬儀社へ行くのは、やっぱり複雑な気持ちでした。
それでも私は、事前に相談に行きました。
祖母を見送ったときに、
何も準備していない大変さを経験していたからです。
祖母の葬儀で「準備していない怖さ」を知った
祖母は福井の施設で亡くなりました。
その日は大雪。
私は名古屋から車で福井へ向かいました。
札幌に住んでいたことがあるので雪道には慣れていましたが、本当に大変だったのは到着してからでした。
祖母が亡くなったあと、いったん施設の霊安室のような場所へ。
でも、すぐに引き取る必要がありました。
福井には知り合いもいない。
葬儀社がどこにあるのかもわからない。
今のようにAIに聞けば候補が出てくる時代でもありませんでした。
なんとか葬儀社を見つけたものの、そこには空きがありませんでした。
途方に暮れていた私と母に、その葬儀社の方が家族葬のできる会館とお寺を紹介してくださいました。
当時は、今ほど家族葬が一般的ではなかったと思います。
「家族葬でいいのかな」
そんな負い目のようなものを感じていた記憶もあります。
でも、紹介していただいたお寺の住職さんが本当にいい方で、右も左もわからない私たちを助け、そこからいろいろと導いてくださいました。
今でも、本当に感謝しています。
そして葬儀が決まってからも、
お花、お供物、湯灌、棺、遺影……。
次から次へと、決めることが出てきます。
悲しみに浸っている時間なんて、ありませんでした。
さらに葬儀が終われば、銀行や役所などの手続きも待っています。
そのとき私は、
人が亡くなったあとに、家族がやることはこんなにもあるんだ。
と初めて知りました。
この経験があったからこそ、父のときは「亡くなってから考える」のをやめました。
父が亡くなる前にしておいた葬儀の準備
名古屋に戻ってから、父も母も私も葬儀社の会員になり、いざという時の準備をしていました。
そして父が危ないとわかったとき、改めて葬儀社へ相談に行きました。
「あと2日くらいだろう」
そう言われた頃です。
そこで確認したのは、
葬儀会場の規模、親族の人数、通夜と葬儀の日程、宿泊人数、食事、お花、お供物、湯灌、遺影、棺、火葬場の時間、車の台数、香典返し……。
亡くなったら24時間いつでも連絡できることも確認しました。
父がまだ生きているうちに、父の葬儀について具体的に決めていく。
複雑でした。
でも、この準備があとになって本当に助けになりました。
一番大事だったのは、亡くなった直後の搬送先
父は病院で亡くなりました。
そのあと、父は葬儀会館の霊安室へスムーズに移ることができました。
私は、これがとても大事だと思っています。
祖母のときは、亡くなってから「どこへ連れていけばいいの?」となりました。
父のときは違いました。
事前に葬儀社と話をしていたので、父が亡くなったあとに搬送先を探すところから始めなくてよかった。
大切な人が亡くなった直後、どこへ移動するのか。
祖母と父、二人を見送った経験から、私はここを事前に確認しておくことが大切だと感じています。
喪主になってわかった「泣いている暇がない」という現実
父の葬儀では、私が喪主でした。
だから本当に、
泣いている暇がありませんでした。
親戚への連絡や手配。
食事。
初七日。
四十九日の手配。
父が亡くなったのに、次から次へとやることがあります。
みんなが寝たあと、火を絶やさないようにしながら、父のそばにひとりでいました。
そのときになって、やっと、
お父さんとお別れする時間ができました。
事前に準備していても、悲しくないわけではありません。
でも、準備していたからこそ、ほんの少しでも父と向き合う時間を持てたのかもしれません。
やってよかったと思う「湯灌」
父の葬儀で、今でも「やってあげてよかった」と思っていることがあります。
湯灌です。
きれいに身体を整えてもらい、散髪もして、眉毛まで整えてもらいました。
すると、弔問に来てくださった方から、
「イケメンになったね」
なんて言われたりして(笑)
父の顔は、とても穏やかで、
安らかな仏様のような顔になっていました。
その姿を見て、私だけではなく、周りの人たちも「湯灌って大切なんだね」と感じたようでした。
葬儀では、短い時間の中でたくさんのことを決めます。
そのときは、それがいい選択なのかわからないこともあります。
でも私は今でも、
父に湯灌をしてあげて、本当によかった。
そう思っています。
無事にお見送りするためにも、準備は必要
親が亡くなる前から葬儀のことを考える。
悲しいし、辛いし、できれば考えたくないことだと思います。
私だって、
「もうすぐ父が亡くなるので、相談に来ました」
と葬儀社へ行くのは複雑でした。
でも、祖母と父、二人を見送った今は思います。
無事にお見送りするためにも、悲しいけれど、辛いけれど、準備は必要。
お葬式は、大切な人を見送る大事な時間です。
そして、お別れは後からやり直すことができません。
だから私は、
「まだ元気だから」ではなく、元気なうちに話しておくこと、決められることは決めておくこと。
それも、大切な人を想うひとつの形なんじゃないかなと思っています。
